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糖質制限ダイエットで体重が減少するという科学的証拠はないが、マウスでの実験では寿命の延長と、迷路課題での成績向上が確認された。ヒトでも同じ効果が得られるかは未知数だが、同じ効果を得られるというサプリメントの研究が進められている。
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健康の増進と減量食の世界は、ますますマゾヒスティックさを増している。最新のトレンドは、体を統制された飢餓状態におき、炭水化物の摂取をほぼ完全に断つことで、ケトン生成を促すというものだ。

そんな“拷問”には気乗りしない向きも、実は知らず知らずのうちにこれを実践している。少なくとも、眠っている間は。

2017年9月5日付けで科学誌『Cell Metabolism』に掲載された、2つの別々に行われた研究で、ケトン生成食を継続的に実践した場合、単にウエストを細くする以上の効果が得られる可能性が示唆された。ケトン生成食は、長寿と記憶力向上に効果がありそうなのだ。

ただし、これはあくまでマウスの場合だ。ヒトに対しての同様の効果はまだ実証されておらず、実験計画中の段階にある。だが、それと並行して、自らを実験台にするバイオハッカー(またの名をダイエット実践者)たちは、世界中で証拠になりそうなエピソードを積み重ねている。

深い眠りから覚めたあと、腐ったリンゴの芯を濃縮したような鉄臭い息を吐いた経験があるなら、それが日常的におこなわれるケトン生成の証拠だ。においの正体はアセトンで、朝の呼気に多少のアセトンが含まれるのは代謝機能が健全である証拠だる。

ヒトは悠久の時を通じて、進化によってエネルギー生成のバックアップシステムを獲得した。このシステムが稼働するのは、体の主要エネルギー源であるグルコースが枯渇したときだ。飢餓の際に働くものだが、長い睡眠の際にも働く。

ケトン体ダイエットの目標は、体をこの代謝の代替経路に完全に切り替え、夜だけでなく起きている間ずっと稼働させることだ。炭水化物の摂取量を1日わずか数グラムに制限することで、体は貯めこんだ脂肪を燃焼し始め、劇的な体重減少が実現することになる。

この代謝システムは、心臓、肺、筋肉といった部位ではなんの問題もなく機能する。だが、1日の消費カロリーの4分の1を占める燃費の悪い器官、すなわち脳は脂肪を燃焼できない。このため、脳はグルコースがないとき、ケトン体と呼ばれる肝臓での脂肪酸代謝の副産物を利用する。これがケトン体ダイエット(英語ではketodiet)と呼ばれるゆえんだ。

もちろん、ケトン体ダイエットのレシピ本を売るのに臨床試験をする必要はない。また、深夜の通販番組の枠を買い占めて、「完全無欠(バレットプルーフ)コーヒー」(『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』を出版したデイヴ・アスプリーが考案した、グラスフェッドバターとMCTオイルを加えたコーヒー)を宣伝するのに、統計的裏付けのある結果を示す必要もない。人気を集めるケトン体ダイエットの場合も、科学的証拠は存在せず、宣伝される効果が本当にあるかはわかっていない。

一方、ケトン代謝には、ほかにもメリットがあることを示唆する証拠が徐々に積み重なってきている。カリフォルニア州にあるバック加齢学研究所の最高経営責任者(CEO)を務める分子生物学者エリック・ヴァーディンは、ケトン体の一種であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)に対する人々の考えを2010年に一変させた。彼の研究チームは、BHBが脳内を受動的に漂う単なる燃料ではないことを発見したのだ。

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