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車依存

100メートルに満たない距離でも群馬県民の4人に1人が車を使う-。

免許保有率が全国トップクラスの群馬県で、車依存が加速していることが県が昨秋実施した人の動きを把握する「パーソントリップ(PT)調査」でわかった。調査結果は街づくりに活用されるが、高齢で車の運転ができない移動難民の増加など課題は山積している。 

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PT調査は、日常生活で人がどのような目的でどこに行ったかなどの動きを調べるもので、通勤や私用などのうち1つの目的で移動することを「1トリップ」とカウントする。今回は平成5年以来23年ぶりの調査で、前橋市や高崎市、桐生市、伊勢崎市など22市町村の約6万世帯からアンケートの回答を得た。

その結果によると、車の利用率は年々増加。移動手段に車を使う人の割合は77・6%で、前回より15・2ポイント増加、昭和53年の45・2%の1・7倍にもなった。これは全国的に見ても高く、過去に同様の調査をした熊本の64・3%▽大分68・3%▽福井76・7%などを上回る。

さらに、車を利用する人の割合を距離別でみると、100メートル未満では26%と4分の1を占めた。300~500メートルでは50%、1~1・5キロで70%、5~10キロで91%と徐々に増加した。

今回、過度な車依存が分かったことについて、地域・交通計画が専門の前橋工科大、森田哲夫教授は「車をサンダルのように、つっかけ代わりに使っている状態で、(車依存が)ついにここまできてしまった。車が便利なことと、公共交通を利用しにくいことが原因だろう」と指摘する。

一方で、今回の調査では、65歳以上の高齢者の外出率は、免許所持者が77・5%なのに対し、免許を持っていない人は44・9%だったことも判明。車社会が進むことによって、移動難民の増加、外出する人が減ることも懸念される。

免許を持っていない前橋市の女性(86)は、「バスの本数は少ないし、他に交通の便がなく、出かける回数が減ってしまう」と不満をこぼす。

前橋市は今年1月から移動困難者対策として、免許を持っていない人らを対象にタクシー代を補助する「マイタク」制度を始めたが、森田教授は「前橋市の取り組みなど、利用者が欲している公共交通のあり方を考えなければならない。自動運転技術にも期待しつつ、誰でも外に出られるようにしていくべきだ」としている。

県は今後、今年度に実施した中山間地域の結果も加え、県全域の結果として公表する予定。

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16:46|この記事のURL地域・身近ニュース | 自動車・バイク・乗り物

2016年10月10日





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